ウイルス学

世界初のウイルス分離・結晶化 未来の地球生命への影響を予見か

スタンリー, ウェンデル・メレディス(1904~1971年、生化学・ウイルス学、米国)

 新型コロナ・ウイルスやインフルエンザ・ウイルスなど、感染症の病原体「ウイルス」は本来がラテン語で「毒、毒液」という意味だ。

「細菌ろ過器」の通過

 ウイルス(※植物ウイルス)の世界初の発見は、現在のウクライナ~モルドバ地域で流行したタバコモザイク病を1887、1890年と調査したロシアの微生物学者ドミトリー・イワノフスキーによる。その病気にかかると、タバコの葉の色が斑(まだら)状態になり生育も悪くなってしまう。イワノフスキーはその病気の病原体が「細菌ろ過器」を通過しても感染性を失わないことを発見し、1892年に記事に発表した(論文発表は1902年)。

言葉「ウイルス」の初使用

 「ウイルス」の言葉の使用は、1898年にドイツのフリードリヒ・レフラーとパウル・フロッシュが、ウシの口蹄疫の病原体のことを「ろ過性ウイルス」と呼称し(※最初の動物ウイルスの発見)、オランダのマルティヌス・ベイエリンクも同年、ろ過器を通過したタバコモザイク病の病原体を「生命を持った感染性のウイルス」と呼んだのが最初だ。

「素焼きのろ過器」がウイルス学の基礎

 これらの「ろ過器」「ろ過性」とは、フランスの細菌学者ルイ・パスツールの助手(後にパスツール研究所副所長)を務めたシャルル・シャンベランが1884年に、細菌(バクテリア)を除去したろ過水を得るために作った「素焼きのろ過器」(パスツール・チェンバーランド・フィルター)のこと。素焼きには細孔があり、それよりも大きな細菌をこし取るが、小さな病原体(ウイルスなど)や細菌の毒素などは通り抜ける。そのろ過器が世界に普及し、ウイルス学確立の基礎となった。

****

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村