分類学

分類学に隔てなし ヒトはみな‟ホモ・サピエンス”

リンネ,カール・フォン(1707~1778年、医学、植物学、分類学、スウェーデン)

 私たち人間(ヒト)の学名は「ホモ・サピエンス」。黄色人種も白人も黒人も、すべて同じ「ホモ属サピエンス種」という名前の動物だ。

 「属」「種」は人それぞれの姓名のようなもので、属が名字、種が名前にあたる。同じ名字(属)だとみんなが親戚関係であり、さらに名前(種)まで一緒だとまったく同じ仲間と言える。この名字と名前のように、二つのラテン語を組み合わせて学名を表記する方法「二名法」を確立し、動植物を分類・整理したのが、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネだった。

 貧しい牧師の家庭に生まれたリンネは、庭仕事が好きだった父の影響を受けて子供のころから植物が大好きで、いろいろな草花や木々の名前を知っていた。ところが同じ植物でも、国内外や地方によって呼び名がさまざま違っていることに気がついた。

 学校では植物採集に明け暮れ、博物学や数学にも興味をもった。リンネは「植物を集めるだけでは、名前だけが多くなる。似た植物は一つにまとめるなどして、何とか分類できないものか」と考えるようになった。

 リンネはスウェーデンの名門ウプサラ大学などで医学を学び、1741年医学部教授、翌年植物園長となった。この間1735年には動物・植物・鉱物の3界について述べた『自然の体系』(英語初版)、2年後には『植物の属』(同)さらに1753年には『植物の種』(同)を著した。それぞれに新知見を入れて版を重ねるごとに、ヨーロッパ中で評判となった。

 これらの著書の中で彼は、植物では花の雄しべや雌しべの数、形などを重視して、植物を24に分類した。動物は六つに分け、クジラをいち早くほ乳類に含めたほか、人間を「ホモ・サピエンス」として分類し、高等サル類と同じ「霊長目」という仲間に入れた。これには「サルと一緒なんてとんでもない」といった反対意見もあったというが、今では常識的に認められている。

 リンネが当時、学名を付けて分類したのは世界各地から集められた植物約7700種。日本で普通に見られるツバキ(属名Camellia)やイチョウ(Ginkgo)、マツ(Pinus)、ネズコ(Thuja)、イチイ(Taxus)、ヤマモモ(Myrica)、ヤナギ(Salix)などもリンネが命名者だ。

 ほかにリンネは鉱物や病気、においなどの分類も試みている。近代科学の成立に大いに貢献したことから、彼は「分類学の父」とも称されている。