電磁気学

4則統合の‶神の方程式″ 光速で伝わる電磁波を予言

ジェームズ・クラーク・マクスウェル James Clerk Maxwell
(1831年6月13日~1879年11月5日、電磁気学、英国)

物理学界の巨匠の一人 

 ニュートン、アインシュタインに並ぶ物理学界の巨匠の一人が、古典電磁気学を確立した英国スコットランドのジェームズ・クラーク・マクスウェルだ。

卵形曲線の論文、光の3原色実験、土星の輪の正体…

 マクスウェルは小さなころから数学が得意で、14歳の時に、糸と2本のピンで卵形曲線を描く方法の論文を発表した。ところが、あまりにりっぱな内容だったため、初めは彼が書いたものとは信用されなかったという。

 大学時代には光の3原色が赤、青、緑であることを実験で証明した。25歳の1856年に故郷の大学の科学哲学の教授となり、さらに、そのころ謎だった土星の輪の正体が、無数の微粒子の集まりであることを理論的に明らかにした。

マクスウェルの方程式

 マクスウェルの最大の業績は、電気力や磁気力に関する「クーロンの法則」や「ファラデーの法則」「ガウスの法則」「アンペールの法則」の4法則をまとめ、電磁場の基礎方程式「マクスウェルの方程式」を導いたことだ。

 マクスウェルがキングス・カレッジ・ロンドンの自然哲学の教授となり、1864年に発表したこの方程式によって、電界と磁界の変化が波(電磁波)となって空間を伝わることが示された。さらに電磁波は横波の性質をもち、光速度(秒速約30万㎞)で伝わることが理論的に予言されたのだ。

アインシュタインの相対性理論の構築へ 

「神がこの方程式を導いたのか?」と当時のオーストリアの物理学者が驚いたほど、電磁気学の分野ではとても画期的な方程式だ。また、この方程式があったからこそ、後にアインシュタインが相対性理論を構築することにつながったともいう。

キャベンディッシュ研究所創設 

 またマクスウェルは、英国の物理学者ヘンリー・キャベンディッシュ(1731~1810年)が「クーロンの法則」(シャルル・ド・クーロン1785年)よりも12年前に同じ法則を発見していたことなど、長年埋もれていた彼の研究業績を再発見し、ケンブリッジ大学に「キャベンディッシュ研究所」を創設するのに尽力した。同研究所は1874年に開所し、マクスウェルが初代所長となった。 

ヘルツが電磁波の存在を証明 

 残念ながら、マクスウェルは48歳の若さでがんのために亡くなったが、それから9年後の1888年にドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ(1857~1894年)が、電磁波が確かに存在することを実験で証明し、無線電信の基礎が築かれた。

 電磁波には一般的な電波や光のほか、X線や赤外線、紫外線なども含まれる。今やテレビ・ラジオの放送や衛星通信、各種レーダー、電子レンジなどと、電磁波は生活の多種多様な分野で利用されている。

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