電磁気学

1週間の実験で電磁気学の重要法則を発見

アンペール,アンドレ=マリ(1775~1836年、電磁気学・物理学・数学、フランス)

 電流の単位「アンペア」。これはフランスの物理学者で数学者のアンドレ=マリ・アンペールをたたえて付けられた。(ちなみに電圧の「ボルト」は、世界初めての電池を発明したイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタ〈1745~1827年〉に由来)。

 アンペールは幼少のころから勉強への意欲が強く、算数を学ぶ前から小石やインゲン豆などを使って複雑な計算をした。さらに14歳までに百科全書20巻を読破し、18歳の時には当時の数学上の成果を学び終えていたという。

 大学教授のアンペールは1820年に、電流が磁針(コンパス)に力を及ぼすことを、デンマークの科学者が発見したことを知った。さっそく自分でもいろいろと実験をしてみた。すると、並行した2本の電線の、それぞれ同じ方向に電気を流したときは、2本の電線は互いに「引きあい」、違った方向に流したときは「反発しあう」ことを観測した。そして発見したのが、電気が流れる導線の周囲に磁場が発生するという、電流と磁場についての重要な法則だ。

 その発生する磁場の方向は、右の握りこぶしの親指(あるいは右ネジの先端)を電流の方向に合わせたときに、他の4指が示す方向(右ネジを回す方向)に一致するという(「右手の法則」あるいは「右ネジの法則」)、その後の電磁気学の基礎となるもので「アンペールの法則」と呼ばれる。いずれも実験を始めて、わずか1週間後の発見だった。

 いろいろと研究熱心なアンペールだったが、熱心さのあまり、少し「おっちょこちょい」の面もあったようだ。

 小さいころから天才と称されたアンペールは、登校の途中、小石を使って計算に夢中になってしまった。ふと持っていた時計を見ると、遅刻寸前だったので、あわてて小石を川に捨てて駆け出した。学校に着いてみると、捨てたのは自分の時計だった。

 大学での自分の講義に夢中になるとハンカチで黒板を拭いたり、雑巾で顔を拭いたりした。自分の数学の講義のために書いた教科書には、タイトルも自分の署名も付けないで出版してしまったという。

 さらにある時、自宅で考えごとをしている最中に来客が多いことに困ったアンペールは、妙案を思い付いた。家の門前に「不在」と書いた札を掲げたのだ。初めはうまくいったが、そのうちに自分も忘れてしまった。考え込みながら自宅に帰ってきて、札の文字を読んだ。「不在ならしょうがない。また来よう」と、引き返してしまったそうだ。

〈メモ〉熱中するとほかのことを忘れてしまうのは、あのニュートン(1643~1727年)も同じだった。ある時、家政婦にゆで卵を作るのを頼まれ、砂時計を渡された。家政婦が戻ってみると何と、ニュートンが手に持っていたのは卵だった。鍋の中に、砂時計があったという。


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