動物生態学

北極ギツネと旅ネズミの関係に着目 「食物連鎖」を提唱した動物生態学者

エルトン,チャールズ(1900~1991年、動物生態学、英国)

 地球上の動植物は、ともに「食べる」「食べられる」関係でつながっている。

 例えば、木の実をリスが食べる。このリスをヘビが食べ、ヘビはイタチに食べられ、イタチはワシやタカに食べられる。このような、食物(しょくもつ)としての互いのつながりを「食物連鎖(れんさ)」という。

 食物連鎖は、今では森や草原、川や海などのいろいろな地球上の環境で、いろいろな形の食物連鎖が知られているが、1927年に世界で初めて食物連鎖の考え方を提唱し、動物界の複雑な関係を解明したのは英国の動物生態学者エルトンだった。

 オックスフォード大学で動物学を専攻したエルトンは、在学中から北極探検を行い、動物の生態を観察した。卒業後、動物学のコンサルタントとして就職した(1926~31年)のが、カナダの毛皮会社だった。そこではカナダやアラスカでとれる「ホッキョクギツネ」の毛皮をエスキモーから買い上げ、商売していた。

 エルトンは就職して間もなく、毛皮の枚数の記録を見て面白いことに気がついた。買い上げる毛皮の数が4年ごとに増えたり減ったりしていたのだ。

 なぜ、規則的な周期をもつのか? エルトンは「ホッキョクギツネ」がえさにしている「タビネズミ」(レミング)に思い当たった。

 タビネズミは体長7~15cm、体重30~112g。草食でコケや草、小枝などを、毎日体重の約1.5倍の量を食べるという。自分たちの数が増え過ぎ、あるいは食べ物がなくなると集団で旅(大移動)を始め、野を越え山越え、前方に川や海であっても泳いで渡る。

 このタビネズミの旅は4年ごとに繰り返され、これに合わせてホッキョクギツネの数が増減していた。ここに食物連鎖の関係があったのだ。

 エルトンは1927年に『動物生態学』を著し、動物生態の研究手法や食物連鎖、階層的な「生態ピラミッド」構造などの基本的な考え方を示した。その後、エルトンはオックスフォード大学に戻って動物生態学の研究や教育、自然保護の普及活動にも力を注いだ。