マクリントック, バーバラ(1902~1992年、遺伝学、米国)
トウモロコシが大好きなアメリカ人女性がいた。といってもポップコーンやお菓子の「〇〇コーン」のことではない。あくまでも、研究対象としてのトウモロコシだ。
彼女の名はバーバラ・マクリントック。20代からトウモロコシの研究一筋の遺伝学者で、「動く遺伝子」(転移因子、トランスポゾン)の発見から約30年後、81歳のとき(1983年)にノーベル医学生理学賞を受賞した。同部門での女性の受賞は初めてのことだった。
「植物をずっと見守り、親密になることが私の大きな喜び。トウモロコシの言いたいことは、今すぐにも説明できますよ」。 自分の研究について語る彼女の言葉には、共同研究者も助手も弟子もなく、たった一人ですべてを成しとげたことへの自信があふれていた。
ところが受賞の一報を受けた時は「あらまぁ、そうなの!?」と、そっけなく言って、いつものようにトウモロコシ畑にでかけてしまったという。
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