遺伝学

分子レベルの進化論 ‶自然淘汰”に中立な突然変異が偶然生存!? 

木村 資生(きむら・もとお)(1924~1994年、遺伝学、日本)

 学者の世界は論争また論争――。特に「進化論」は、地球上での約38億年前の生命誕生から今日までの長大な歴史について論じているだけに、簡単には決着しないようだ。

 いまだに世界に影響力のあるダーウィンの進化論に対して、分子生物学の立場から画期的な仮説「分子進化の中立説」を1968年に打ち出したのが、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の元名誉教授、木村資生(もとお)博士だった。

ダーウィン「自然淘汰に有利な、優れたものが生き延びる」

 ダーウィンは、生物の互いの外観の違いや似ている点などに着目して「生物は自然淘汰(とうた)に有利な、優れたものだけが生き延びる」という考え方を、1859年に発刊した『種の起源』の中で示した。

木村「自然淘汰に中立的な突然変異が起き、運のよいものが生き残こる」

 これに対して木村は「遺伝子」という分子レベルでの進化を考えた。突然変異を起こした遺伝子が生物集団の中でどのように広がり、生物集団が進化して行くのかを、数学理論を用いて調べたのだ。

 結果は「自然淘汰に有利でも不利でもない中立的な突然変異が起き、この新しい遺伝子がたまたま偶然に子孫に伝わる。つまり、運のよいものだけが生き残こる」というものだった。

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