医学

破傷風菌「カメの子シャーレ」で培養成功 血清療法の確立も

北里 柴三郎(1853~1931年、細菌学・医学、日本)

 「医者と坊主には、なりたくない」。熊本県小国町の庄屋の家に生まれた北里柴三郎は、幼少のころに漢学や国学などを学び、こう決めていたが、長じて「近代日本医学の父」や「日本の細菌学の父」と称される高名な医学者になった。ましてや本人も、自分の肖像が紙幣(新千円札、2024年度発行)にまでなるなんて、思いもしなかったはずだ。

 北里を一躍有名にしたのが、ドイツの留学中に成し遂げた破傷風菌の純粋培養(1889年)と血清療法の確立(1890年)だ。