ヘイケ・カマリン・オンネス Heike Kamerlingh Onnes(1853年9月21日~1926年2月21日、物理学、オランダ)
「ヘリウム」はヘリオス(太陽)から命名
気球を飛ばす時に使う「ヘリウム」ガス。この元素名はギリシャ語で「太陽」を意味する「ヘリオス」から来ている。ヘリウムは1868年の皆既日食の際に、フランスの天文学者が太陽のコロナを分析し発見したからだ。
困難だったヘリウムの液体化
その気体ヘリウムの液体化に取り組んでいたのが、オランダのライデン大学実験物理学教授の物理学者、カマリン・オンネスだった。オンネスは大学内の低温物理学研究所で酸素や窒素、水素などの液体化に成功していたが、ヘリウムだけはまだだった。
一般的には気体に高圧をかけて、より低温にすれば、気体は液体に、液体は固体に変化するはずだが、ヘリウムだけは簡単にはいかない。温度の下げ方が足りなかったのだ。
-269℃の超低温を実現
そのためにオンネスは強力な冷却機と、三重構造の魔法瓶(一番外側に液体空気、次に液体水素、真ん中に目的の液体ヘリウムをためる容器)を使って、絶対零度(-273℃、0K)に近い-269℃(4K)という超低温を実現し、ヘリウムの液体化に成功した。1908年のことだった。
ところが、成功はこれだけでは終わらない。
水銀の電気抵抗がゼロに⁉
さらにオンネスはこの液体ヘリウムを使って水銀を絶対零度近くまで下げると、水銀の電気抵抗が突然ほとんどゼロになる現象を1911年に発見した。
電気抵抗がないために、電流はロスすることなく、いつまでも流れる。水銀のループに流した電流は1年たってもそのまま流れていたという。
「超電導現象」1911年に発見
これが「超電導現象」だ。超電導は今では、当時よりも比較的高い温度で、多くの元素や化合物で見つかり、さまざまな分野での利用や研究が進められている。
この超電導の発見と低温物理学の基礎を築いたオンネスに対して、1913年ノーベル物理学賞が贈られた。