ベンジャミン・フランクリン Benjamin Franklin(1706~1790年、工学・気象学、米国)
米100ドル紙幣に肖像画
印刷業から身を起こし、文筆家で発明家、科学者、さらには国の外交官でもあった人は?──と米国民に質問すると、すぐに「ベンジャミン・フランクリン!」と名前が返ってくるほど国内では有名だという。
英国から独立する時の「アメリカ独立宣言」(1776年)を起草した1人でもあり、現在も米国100ドル紙幣に肖像が描かれ、尊敬されている。
「雷は電気である」の証明
彼の他種多彩な業績の中で、科学分野で有名なものの一つが、雷が電気であることの証明だ。
「ライデンびん」での実験
10歳で学校教育を終えたフランクリンは、その後も科学や発明について独学で勉強をしていた。中でも、1746年にオランダのライデン大学で発明された、電気をためることのできる「ライデンびん」=ガラスびんの外側と内側にスズ箔を貼り、ふたの中心に金属棒を通して内側の箔に接着させた構造=を知ると、電気にも興味をもち、自分でもそれを使って室内実験を行った。
「放電」は金属の先端から
その結果、電気にはプラスとマイナスの2種類があり、「放電」現象は先のとがった針のような金属部分からよく起きることに気づいた。その時発生させた放電が雷の稲光と似ていることから、彼は「雷も電気では」と考えた。
雷鳴とどろく空へたこ揚げ実験
1752年6月のある日、雷鳴とどろく空に向かってたこを高く揚げる野外実験に挑んだ。たこには針金が取り付けてあり、手元のたこ糸とワイヤーでつないで足元に置いたライデンびんが、稲妻が発生するのとほとんど同時に帯電するのを確かめた。
その実験は、今では考えられないほど無謀で危険極まりないため、本当に行ったかは疑問視されている。ところがその後、実際にフランクリンの実験を再現しようとした人がいて、雷に打たれて死んでしまったというから怖い。
避雷針の発明も
それはともかく、彼は「針金は雷の電気を引き寄せることができる。それを高い建物の先端に立てて、電気を地上に逃がしてやれば、落雷の被害を防ぐことができる」と考え、発明したのが「避雷針」だ。ほかに、燃料消費が少ない「フランクリン・ストーブ」や遠近両用の眼鏡なども発明した。
「暴風雨が移動すること」
そればかりか彼は、気象観測器も観測網もない時代に、米国の暴風雨が西南から北西方向へと移動して来ることを初めてつかんだ。メキシコ湾流などの海象研究とも合わせて、帆船による大西洋の運航に役立てたという。
火山活動が気候変動にも影響
また1783年の英仏などヨーロッパの天候不順は「北大西洋のアイスランドの火山噴火による煙霧が、太陽の日射量を減少させて起きた」とする推論も発表した。火山活動が地球の気候変動にも影響することを述べた、世界最初の論文として評価されている。