物理学

原子核の周囲を電子が回る ‟土星型モデル”を提唱

長岡 半太郎(1865~1950年、物理学、日本)

 人類で初めて望遠鏡で天体を観測したガリレオ・ガリレイは、土星の環(わ)を「土星の耳」と表現し、決してリングとは認識していなかったようだ。土星の環を初めて環として観測したのは、土星の衛星タイタンも発見したオランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンス(1629~1695年)で1655年のことだった。その環はほとんどが氷の粒できており、円盤状になって直径約28万㎞まで広がっているが、厚さはわずか5~30mと薄い。

 さて、こうした広大な宇宙にある「土星の輪」がヒントになって、極微小な原子の構造についての重要なモデルが、1904年(明治37年)に日本人によって国内外に発表された。考えたのは肥前国大村藩(現・長崎県大村市)生まれの物理学者、長岡半太郎博士だ。

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