化学

人類英知のダイナマイトで平和の建設を ノーベルの願い

ノーベル,アルフレッド・ベルンハルト(1833~1896年、化学、スウェーデン)

 世界で最も権威ある賞がノーベル賞だ。授賞の対象は科学では物理学、化学、医学生理学の3部門、ほかに文学、平和、経済学の3部門がある。毎年10月に受賞者が発表され、その受賞式が12月10日に行われる。

 なぜ、この日なのか。実はスウェーデンの化学者、アルフレッド・ベルンハルト・ノーベルの命日だからだ。ノーベルはダイナマイトを発明し、大富豪となった。その財産で設立した基金の毎年の利子を「前年に人類のために最大の貢献をした人々に分配する」とのノーベルの遺言で設けられたのがノーベル賞なのだ。1901 年に第1回目の受賞式が行われた。

 ダイナマイトほど、世界の産業や戦争の形態を大きく変えた発明品はない。

 一瞬のうちに大きな破壊力を示すものとして、それまでは「黒色火薬」があった。それは木炭の粉とイオウ、硝石を混ぜたもので、10世紀の中国の発明ともいわれるが、水に濡れると使い物にならず、煙がひどいなどの欠点があった。

 1846年になって、イタリアの化学者アスカニオ・ソブレロが、硫酸と硝酸とグリセリンを混ぜてニトログリセリンを作り出した。この液体は強い爆発力を持っていたが、少しの振動で爆発するという危険性があった。

 「これを安全に利用できないか」と着目し、研究に取り組んだのがノーベルだった。

 ノーベルは1866年までに画期的な点火装置「雷管」と、危険なニトログリセリンをスポンジのような多孔質のケイ藻土に染み込ませて安全に利用できる方法を開発し、翌年にアメリカと英国で特許を取ったのが「ダイナマイト」だ。

 世界中の鉱山や道路建設の工事などで使わるダイナマイトだが、ノーベルが一番残念がったのは、兵器として戦争に使われたことだ。彼がノーベル賞に平和賞を設けたのもこの理由からだったという。