メンデレーエフ,ドミトリ・イヴァーノヴィチ(1834~1907年、化学、ロシア)
水兵(H:水素、He:ヘリウム)
リーベ(Li:リチウム、Be:ベリリウム)
ぼく(B:ホウ素、C;炭素)の(N:窒素、O:酸素)船(F:フッ素、Ne:ネオン)
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理科の教科書などに出てくる「元素の周期表(周期律表)」は、ロシアの化学者ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフが1869年に発表した世界的な、不朽の名作だ。
というのも、この表は元素の構造や性質を適確に表現し分類しているからだ。具体的に元素がどのような順番で、どのように並べられているかなど、詳しくは理科の先生に訊いてもらうこととして、驚くべきことは、この表が「未知なる元素の存在」も予測していた点だ。
物質を構成する元素の種類は、今(2021年9月現在)でこそ、人工的に合成したものも含めて118種類あるが、メンデレーエフの時代は63種類が知られていただけだ。当時の科学者たちは、今後さらにどんな元素がどれだけ増えてくるのか、まったく分からずにいた。
「元素を分類し、整理できないものか」と長年悩み続けていたメンデレーエフはある日、書斎のソファーで眠り込んでしまった。すると夢の中で、元素が原子番号の順番に現れて来た。そこで彼は目をさまし、急いで紙に書き付けたのが、周期表の発見のきっかけだったと言われる。
その夢の真偽はさて置き、確かな事実としては、ある日彼は一つ一つの元素をカードにして、原子量の順番や性質の似たもの同士が集まるようにしてカードを並べていった。でき上がったものが、元素の周期表の原形だったという。当然、発見されていない元素もあったが、彼は「間違いなく存在するはずだ」と考えて、空欄にして置いたのだった。
彼の周期表は、発表当初はだれにも注目されなかったが、1875年にガリウム(原子番号31、Ga)、1879年にスカンジウム(同21、Sc)、1886年にゲルマニウム(同32、Ge)と、元素が次々と周期表の空欄を埋めるように発見されて正しさが認められ、高く評価されるようになった。その後も新しい元素が見つかり、現在の周期表となったのだ。
「私の研究は、多くの真実の中から確実性を求めることにあった」と、彼は言った。確実なことを積み重ねたからこそ、確かな予測ができたのかも。
〈メモ〉原子番号101の元素メンデレビウム(Md)はメンデレーエフの名前にちなんだ。なお、日本の理化学研究所が2012年までに合成を確認した原子番号113の新元素は、2016年に国際純正・応用化学連合 (IUPAC)により「ニホニウム(Nh)」と正式に決定された。